ロードバイクにハマりたい!

2019年9月8日 14時17分。Cannondale SYNAPSE DISC 105 SE 2019年モデルを購入しました。

ロードバイクにハマりたい!

ロードバイクと彼岸花と社畜

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社畜サイクリストの朝は遅い。

8時過ぎにようやく姿を現した彼は、玄関にまとめられたゴミを出した後、眠そうな顔のまま洗濯機を回し始めた。
聞けば前日も22時まで仕事をして、眠りについたのは深夜2時だという。

男の名前はシナプス。職業はシステムエンジニア。
「社畜」と自称する彼は「まだ出発しないのか」というスタッフの問いかけに対して「洗濯物を干さないといけないので」と言葉少なに語った。
どうやらサイクリングに出かける前に、奥様のご機嫌をとっておく作戦のようだ。

洗濯機が仕事をしている間に準備を進めるかと思いきや、自家製の甘酒(ノンアルコール)を飲みながらタブレット片手にゆったりと時間を過ごす。
サイクリストは「少しでも早い時間に出発したい」生き物だと聞いていたが、この男は例外なのだろうか。
ペダルに足がかかる頃、時計の針は10時を過ぎようとしていた。

9月某日。
この日のライドテーマは「彼岸花」
大野川沿いを上流に向かって走るらしい。
ルート選択の理由を聞いてみると「たいていの花は大野川に咲いてるでしょう」というおぼろげな答えが返ってきた。
ビンディングペダルにスニーカーという出で立ちからも、あまり遠くまで走る気持ちがないことが見てとれる。

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走りやすいサイクリングロードに入っても、一向にスピードは上がらない。
「貧脚」との噂は本当のようだ。
時間内に撮影が終わるのかというスタッフの心配をよそに、本人はいたってマイペース。
しかし、ここで問題が発生する。

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自治体の整備活動の一環で草という草が刈り取られてしまっていた。
サイクリングロードの終着地点まで走ったものの、結局、撮影ポイントに巡り合えず。
「諦めるだろう」と誰もが思ったが、意外にも山の方向へ走り出す。
これまでだらしない言動ばかりだったが、写真を撮りたい気持ちはそれなりにあるようだ。

f:id:synapse20190908:20210923232434j:plain最終的に大野川の対岸から少し入った場所に彼岸花が群生している場所を発見し、なんとか撮影にこぎつけた。

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撮影中のシナプスにこんなことを聞いてみた。
「社畜じゃなかったら、もっと走れたと思うか」
「それは間違いないでしょうね。ただ・・・」
風に揺れる彼岸花を見つめながら、彼はこう続けた。
「自分が選んだ人生ですから」

それなりに満足したのか「帰りましょう」と帰路につく。
途中、GoogleMapを頼りにし過ぎたことが裏目に出てしまい、工事中の道路に惑わされ道に迷ってしまった。
それでも適当に走っていると珍しい白い彼岸花に出会えてしまうあたり、まだかろうじてロードバイクの神の加護を受けているのかもしれない。

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今回の走行距離は46km
お世辞にも長い距離とは言えないが、シナプスはかなり疲れた様子だった。
「こんなことならビンディングシューズにしとけばよかったですね」
力なく笑う男の背中は、しかし、どこか満足気に見えた。


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